シボ加工の種類と類似加工

シボ加工の種類と類似加工
物質の表面処理のひとつに、
物理的にシワ模様(シボ)をつけるシボ加工があります。

皮革製品の表面のシワ模様を「皺(しぼ)」と呼び、
皮革業界では革にシワを付けることを「皺を付ける」といいます。

繊維業界では、ちりめんを揉んだり絞ったりしてシワを付けることを
「シボ付け」と呼び、ちりめんやジョーゼット、クレープなどを
「シボ織物」と呼びます。

ここから派生して、プラスチックや金属などを成形またはプレス加工
する際に金型(鋳型・プレス型)の表面に細かい模様(凹凸)をつけ、
成形品にその模様を転写する加工を「シボ加工」、その模様を「シボ」
と呼ぶようになりました。

金型の表面をシボ加工する際はエッチングによる化学処理や
サンドブラスト、鏡面仕上げにしない研磨処理などの物理処理によって
模様を作ります。

シボ加工をすることにより、見た目に高級感を出し、さわり心地・
滑り防止、汚れ(指紋)や傷を目立たなくする等の効果の他に、
成形加工時に生じる溶接線や凹みも目立たなくし、
離型(金型から製品の取出し)が容易になるなど生産性にも寄与します。

模様には皮革(ウロコ)、梨地(なしじ)、木目、岩目、
砂目、布目・絹目(布地模様)、幾何学模様などがあります。

梨地(梨子地)とは、梨の表面のようにザラザラした状態をいい、
伝統工芸では織物や蒔絵(まきえ)の加工の一つです。

印籠,inrou
▲印籠(素地が蒔絵の梨地仕上げ)

現在では金属やプラスチック等のシボ加工処理に
梨地が広く使われています。

サンドブラストでも手触りや遠目には似ていますが、
基本的な違いは凹凸で、梨地は凸、サンドブラスト仕上げは凹です。

またプラスチック成形品などの梨地は
よく見ると規則性があり模様は連続していますが、
サンドブラストではランダムな模様になります。

ガラスやビニールシートの表面にも梨地という凸凹処理があります。

プレイステーション-コントローラー,controller
▲ゲーム機のコントローラー(左)と本体(右)
 本体の上側は鏡面仕上げ、入力機器の下部は布目、
 その他の面は細かさやパターンの異なった梨地。

ヘアライン仕上げ(略称:HL)は、
表面に平行な細い線が入るように処理することで、
筋目、シルクラインとも言います。

紙やすりなどで一定方向に研磨した時に出来る模様です。

一方、類似した表面加工に「つや消し」「すりガラス・型ガラス」があります。

塗装などで使われるつや消し塗料は、その中に大粒の顔料を含んでおり、
塗装後の表面が梨の皮のようにデコボコになります。

その他塗料を使わないマット仕上げ・艶消しと呼ばれるものもああります。

例えば布地のような凸凹をつけた印画紙は絹目と呼ばれ、
その上に画像処理したものはマット仕上げと呼ばれます。

「すりガラス(曇りガラス)」はサンドブラストで物理的に傷をつけたり
フッ化水素酸で溶かしたもの、「型ガラス」は型で模様を転写したものです。


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参考文献;
シボ加工
https://bit.ly/34zlSva
ちりめん
https://bit.ly/31vowQy
ジョーゼット(georgette)
https://bit.ly/2YCjKPj
エッチング(Etching)
https://bit.ly/34Ah1tq
サンドブラスト(sandblasting)
https://bit.ly/3lgDqlA
蒔絵(まきえ)
https://bit.ly/3gvxzoW
印画紙(いんがし)
https://bit.ly/2D5a1cY
フッ化水素酸
https://bit.ly/3llGNI4
磨りガラス
https://bit.ly/2QqNyKm

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